原付ツーリング2022
2年ほど前から僕は年1回の原付ツーリングを恒例行事にしており、いつも大体1~2泊かけて紀伊半島あたりを周っていました。大学院生になって少し時間に余裕ができたので、もう少し長く、もう少し遠いところへ旅をしてみよう、ということで計画したのが今回の旅になります。
思い立ったが吉日、即行動といえば聞こえはいいのですが、年々衝動性が高まってきているように感じます。果たして来年の自分はどうなってしまうことやら。
とまあそんな衝動のおかげでさっそく飛行機とレンタルバイクの手配をし、気がつけば空港行の電車に乗っていました。
大阪梅田駅で食べた月見そば
やはり8月前半はpeachも予約が埋まっており、始発便しか取れませんでした。関空周辺は大阪屈指のネカフェ空白地帯なので格安で快適に夜を明か手段がなく、始発とそれ以外では予約倍率に大きな差があります。
幸い第1ターミナルビルは無料開放されているので、騒音や明るさに目をつぶれば実質高級ホテルです(論理破綻)。
ふかふかです。
peachが発着する第2ターミナルへはバスで移動します。
空港の醍醐味といえば待ち時間に滑走路を行き来する飛行機を眺めることに他ならないわけですが、第2ターミナルのゲートエリアの窓は中庭を映すばかりで景色もクソもありません。まあその分運賃が安くなっているわけですから文句は言えませんが。
関空から新千歳空港までは2時間ほどなので、寝ていればすぐに着きます。
ベルトコンベアで運ばれてくるマットと寝袋
異形の荷物は念入りに縛っておくよう指示されました。
念願の新千歳です。
新千歳からは電車で札幌市白石区まで移動します。
今回はここでバイクを借ります。
赤のクロスカブ
北海道広しと言えども~50ccのバイクを借りられる店は数店しかありません。
やっぱりカブは荷台が大きくていいですね。
このカブとともに5泊6日を駆け抜けます。
初日は札幌→小樽→積丹半島→岩内→倶知安と、積丹半島をぐるりと周るルートです。
午後から楽しむ積丹半島
初めてのカブだったので、札幌市内でギアチェンジの練習をしていたら昼になってしまいました。さらに原付にとって札幌から小樽までが地味に遠く、小樽に着いたのは14時ごろになっていました。
昼食はルート沿いにある南樽市場でとりました。
独特なスタイルのお冷
食べるのはもちろん、海鮮丼です。
海辺の町を訪れたときにやりがちな、思考停止海鮮丼ムーヴです。
市場の中にあるこの店はラーメンも有名らしく、やたらプッシュされていました。
南樽市場は魚介だけでなく野菜や果物も多く扱っていて、特に果物は見たことないような安値で売られていました。買って夜に食べたかったのですが、調理道具を持ち合わせていないうえにまだまだ先が長い…ということで見送りました。
今旅において小樽は通過点です。さらに北へと進みます。
天気が悪いからなのか、緯度が高いからなのか、かなり肌寒いです。
おもしろい岩があったので立ち止まりました。
何がとは言いませんが天高くそびえています。
道中の港町
北陸の海岸沿いなんかは山の間に中規模の集落が転々としていたりするのですが、それと少し似ています。
やたらカラフルなのは北海道らしい…?
黄昏の積丹岬
積丹半島の名所である神威岬を目標に進んでいたのですが、ギリギリ営業時間を過ぎており、門の先へ進むことはできませんでした。
門の向こうから管理人の放った「積丹岬にでも行きな!」の一言に従い、来た道を10km引き返すことにしました。きっと逆張りの神様からの導きなのでしょう。
積丹半島の島武意海岸にやってきました。
ここも気になっていた場所ではあるので、写真でしか見たことのなかった遊歩道のトンネルを目にしたときは心が躍りました。メジャー観光地である神威岬をあえてスルーして積丹岬に訪れる、いつもどんなときも逆張りの心を忘れるべからずです。
地面はジメジメしていますが、視線を前に映すと水平線が目に飛び込んできます。
シャコタンブルー…と言えるのかどうかわからないですが、いわゆる「きれいな海」がそこにはありました。
雲が低いこともあり「空と海のはざま」感があります。
後になってラベル付けしてみると、案外いい写真なのかもしれない、と思うようになりました。
崖を彩る植物と黄土色の岩、渚の白と海の青がなかなか良いコントラストを作っています。
見る限りカップルの姿はなかったので、精神衛生上とても良い場所でした。
駐車場から急斜面を降りてきたので、帰りはこれを登らねばなりません。
バイクで楽をしているのだからこれぐらいの運動は望むところです。
気がついたら日が暮れようとしていたので、偶然近くにあった「岬の湯しゃこたん」で入浴しました。
この温泉がとても良いところで、ぬるぬる系+ぬるめのお湯と僕の好みをこれでもかと押さえてくれていました。
極めつけは露天風呂です。遮るものが何もない山の上から視野いっぱいの海と空を眺めることのできるインフィニティ風呂でした。敷地と自然の境界で仁王立ちしていると時を忘れそうでした。
風呂上りは物産コーナーのプルーンジュースです。とても濃くて一日の疲れが吹き飛びます。
ここが旅の終着点かと思ってしまいそうになりますが、まだまだ初日です。
もっといえば今日進む予定の道のうちまだ半分も来ていません。
外は真っ暗。ここから100kmほど進むのかと考えると頭がおかしくなりそうです。
考えている暇などないので、ジメジメ冷え冷えとした積丹半島の西海岸にひたすらバイクを走らせます。
無心で走っていよいよ寒さで身体が動かなくなりそうになった時、不意にあたたかな光につつまれました。ようやく半島付け根の町・岩内に到着しました。この数時間で初めての光、その中でもひときわ明るい輝き・セイコーマートに入店しました。初めてのセコマ飯は冷え切った身体を融かし、確かなエネルギーを供給してくれました。
人生初のセコマで興奮していたのにその時の写真が1枚もないということは、それだけ心身ともに余裕がなくなっていたということなのでしょう。
こんなんでこの先大丈夫なのか…
ここからはさらに峠を1つ越え、俱知安町に入りました。この峠越えもなかなかつらいもので、俱知安町の町明かりが見えた瞬間これ以上ない安堵を覚えました。
この日の夜は、よくわからない公園のベンチで明かしました。人生で最も寝袋のありがたさを感じた季節は、真夏でした。
ただ今回の寝床はコンビニが近い割にやけに静かで、野宿スポットとしては理想的な場所でした。人里の温かさと自然の静けさが共存する俱知安町が僕は大好きです。
↓この記事に登場した場所。青いピンです。
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