悠久の越前海岸
あたりを視認できる程度に明るくなった午前5時、ホテルをチェックアウトします。今日の目的地は金沢。130kmほどの道のりです。
始発のバスが来るまでには立ち去らないと…なんて思考が浮かんでくるほど寝床に愛着は持てませんでした。むしろバス停のベンチに寝そべってこの時が来るのを今か今かと待ちわびていました。
隣接しているコンビニで朝ご飯を買ったのですが、アンラッキーなことにゴミ箱が利用禁止でした。コ対策でしょうかね…。仕方なくサドルバッグに括り付けて走ることにしました。
僕は根っからのナチュラリストなので、こういった磯を見つけるとついつい近寄ってみたくなります。入り組んだ海岸線ではありますが、道は相変わらず平坦なので走りやすい。
ゴミ積載モード
大きいサドルバッグを使うのは初めてですが、こうやって靴や袋を括り付けることができるのは便利ですね。
いかにも日本海側って感じの曖昧な夜明けと朝霧がベストマッチしていて、とても幻想的な海岸線が浮かびあがっています。おそらく奥に見えるのが越前岬です。こうして見るとかなり距離があるように見えますね…。このまま終わりのない海岸線を走り続け、永遠に目的地にたどり着くことはできないのではないか、という気にさせられます。
強制絶景鑑賞、自分はこの幻想の世界から抜け出すことができるのでしょうか?
第1の目的地
30kmほど海沿いを走り続け、やっと町が見えてきました。
九頭竜川越しに市街地が見えます。どことなくノスタルジックな街並みが、大河に浮かんでいるようにも見えます。
ここは福井県坂井市三国町。アニメ『グラスリップ』の舞台にして、今ツーリング第1の目的地です。
まずは前日分の記事でも触れた、観光マップを手に入れなければいけません。しかし、配布場所である三国駅観光案内所が開くのは9時。それまで町中を見てまわることにしました。
みくに龍翔館
三国町のシンボルとなっている博物館で、グラスリップ作中にもよく登場します。展示には興味があったのですが、開館を待っていると今日中に金沢まで着けそうにないので今回はパスします…。
眼鏡橋 上からver.と下からver.
どちらも作中に頻繁に登場した構図です。ラブコメとして重要なシーンを担っていたので、なかなか印象深いスポットです。
駅構内にある観光案内所が開く時間になったので、すぐに駅へ。
目的の品をゲット。勝ち申しました。
(追記:4スポットのうち、ここだけスタンプや記念品がノーチェックで持ち帰れる、いわば投げ売り状態でした。他の作品ほど地元から支持されてるわけではないのかもしれません。作中における町の再現度は一番高いんですけどね…)
次来る時はこれに乗ってみたいです。
三国サンセットビーチ
けっこう広い。どうして真夏なのに人っ子1人いないんですかね…と思ったら、まだ朝の9時でした。いやそれにしても閑散としているような。
東尋坊と雄島
せっかくここまで来たので、東尋坊にも行ってみます。一度ヒルクライムして駐車場の様子を伺ったのですが、どうやら自転車で来る物好きなど想定もしていないようで、どこにも駐輪スペースがありませんでした(半ギレ)。 仕方がないので、麓の公園に自転車を置いて、遊歩道を歩いて行くことにしました。
迫力があります。足場は安定していたので、見てまわる分にはそこまで危険ではなさそうです。
ところで自殺の名所として名高い東尋坊ですが、ここから身を投げることを選んだ人々は、あの賑やかな土産物屋街を通ってくるんですかね。あんな騒がしいところを歩いていたら、覚悟も削がれてしまいそうなものですが。
次は東尋坊の北西に見える謎の島、雄島へ行ってみます。航空地図を眺めていた時にこの島を見つけたのですが、なかなか面白そうなところです。
雄島橋
あぁ^~いいっすね~。 真っ赤な橋が青空に映えます。
雄島は、岩を横倒しにしたような地形が特徴的です。島の半分ぐらいがこうした岩場なので、とてもユニークで面白いです。
はるか彼方に見えるのは、さっきまで永遠の時を過ごしていた越前海岸でしょうか。
日が暮れるまでに金沢につかないといけないという現実から目を背けたい…。
島から見た本土
いい感じの漁村です。ちなみに、左端に見えるトンネルには雄島隧道という名があり、心霊スポットとして有名だそうです。中にいる仏像と目を合わせるとなんとかかんとか…。そういえば、雄島を反時計回りで散策すると霊をたくさん連れ帰ることになって死んじゃうらしいです。僕はこの島のことあまり詳しくなかったので、思いっきり反時計回りしちゃいました。まあ島で出会った人はみんな反時計回りで散策してたので、いざという時は彼らが肩代わりしてくれることでしょう(楽観視)。
北上
初日行きたかったところは回り終えたので、宿泊地である金沢を目指します。あとは305号線と8号線を使って永遠に北上するだけです。
タイミング的に、福井・石川県境で昼食を取ることになります。しかし、目星をつけていた飲食店はことごとく準備中になっており、山の中でハンガーノックに陥りかけました。飢えだけならまだいいのですが、当たり前ながら今は真夏。熱中症の兆候が見え隠れします。
県境を越えた田園地帯にある食堂でやっと昼食にありつけました。カツ丼がうめえ。
北陸(福井)でカツ丼を注文するとデフォルトでソースカツ丼が出てくるという噂がありますが、見ての通りそんなことはありませんでした。まあここは石川県なので今回の検証は妥当性が疑わしいですが。ちなみに僕は卵でとじたカツ丼の方が好きです。
この後は永遠に8号線を進むだけでした。いよいよ足に力が入らなくなってきたので、ただ前に進むという意志だけを頼りにのろのろ漕いでいました。
日が暮れたところで銭湯にピットイン。休憩コーナーを眺めていると、ご当地サイダーの多さに驚かされました。いろいろな味があっておもしろい。写真撮ってればよかった。
その中で手に取ったのは、ゆず味の湯涌温泉サイダー……いや、よく考えたら湯涌温泉は明日行くからその時に飲めばいいやん…。ということでいったん湯涌温泉サイダーを棚に戻し、代わりにブルーベリー味のサイダーを飲んでみることにしました。おいしい。
これは金沢市内の海鮮料理店でいただいた定食。
とんでもない品数なのにお値段約900円でした。ここは巨大な海鮮丼が売りなようなので、また今度お手合わせ願いたいです。