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↓この記事に登場する場所。紫のピンです。
決断の時
4日目の朝、道の駅 ひがしかわ・道草館を出発します。この晩も気温が非常に心地よかったです。
この日は北海道最高峰の旭岳を目指します。旭岳を含む大雪山では真夏でも死亡事故が多発しており、その凄惨さは検索すると現れるゆっくり解説動画の数が物語っています。ツーリングのついで感覚で登っていい山ではありません。一応僕は頂上を目指すつもりで装備を整えてきているのですが、やはり未知に挑む恐ろしさがあり「少しでも天気が崩れそうだったら引き返そう」と思いながらバイクを走らせていました。
今までになく緊張感のある朝だったのですが、幸いその分バイクでの走行距離は短いので身体的には楽ができました。もし天気が崩れたら早めに退散して旭川で博物館めぐりでもしようかな~などと考えていました。
旭岳ロープウェー乗り場の近くの湿原を散策してみました。
針葉樹林と湿原というのはまた涼しげな光景です。
北海道特有のクソデカ蕗
登山するかどうかを決める前にとりあえずロープウェーで標高約1600mの姿見駅まで登ってみました。
久しく見ていなかった色とりどりの高山植物が出迎えてくれました。
姿見の池付近から見た姿見駅
森林限界は遥か下、彼方まで草原(湿原かもしれません)が広がっています。その雄大さに感動しました。
これが旭岳の本体です。見ての通り雲一つない絶好のコンディションです。ロープウェー乗り場でのアナウンスによると午後からは雨が降るようですが、どうも今から登り始めると計算と経験上昼頃にはここまで帰ってこれそうです。ならばここで引き返す理由などないと、この山体を前にしてそれ以外の選択肢などありません。
神への道
気づいたら山頂への道へと足を踏み出していました。
旭岳は山体崩壊により火口の縁が横長かつスロープ状になっています。ちょうど前割便座が傾いたような形をしています。
この便座右半分の上を歩いていくのが登山道です。
いわば常時お鉢巡りをしているようなもので、左には火口、右には大草原といった景色を見ながら登ることができます。
遠くに姿見駅が見えます。3kmほどで700m上昇するわけなので登山道はかなり急です。巨大な滑り台のようです。
雲が近づいてきているのが不穏ですが最高に気持ちいい登山道です。
やはり道幅は狭いです。そのうえ脇はそこそこ急な斜面になっています。便座に例えるなら左は排水路、右は床です。どちらに転んでも無事では帰ってこれません。緊張感のある登山道をひたすら登っていきます。
ちなみに上の写真の中央に小さく映っている四角い岩が「金庫岩」です。旭岳を知るにあたっていろいろな意味で重要な場所です。
登山道の良い目印になるポイントなのですが、すぐ近くには「ニセ金庫岩」なる岩があります。見た目がそっくりなので両者を見間違い、登山道から逸れていく…というケースがあるようで、特に有名な事故にSOS遭難事件なるものがあります。
未解決というわけではないのですが、どことなく不安な気分にさせられるミステリアスな記事です。
もたもたして…いたわけではありませんがついに雲が追い付いてきました。
あっという間に細いトレイルを残して周りの景色が消えました。
ガスの中に浮かぶ金庫岩
ニセの方だったかもしれません。
幸い今は登山道の両脇にロープが張られているので道を間違える心配はありません。
でもこれだけ視界が悪くてロープもなかったとしたら…正直言って普通に道を間違えて遭難していたと思います。
山頂に着きました。
運よく視界が開け、大雪山の雄大すぎる景色を望むことができました。
これはカムイミンタラですね。
北海道最高峰、サクッと制覇です。
セイコーマートのラスクが昼食です。
山頂も曇ってきたので、早々に下山します。
幼稚園か保育園の遠足らしき集団とすれ違いました。遠足で2000mの山を登る園児たちのタフネスに惹かれ、休憩中の彼らと岩一つ挟んだところで聞き耳を立てていました。どうやら一行は時間不足のためここで引き返すらしいです。先生たちが懸命に園児を説得していました。
その判断力に敬意を表しつつ、僕は自分の下山を急ぎました。
遊歩道を周って帰りました。
この遊歩道、山頂を目指すのが体力的に厳しい人のために整備されているという位置づけだと思うのですが、それにしてはなかなかアップダウンがあります。
いろいろ不安はありましたが、天気が崩れる前に下山することができました。
この時点でまだ14時とかだったと思います。
コンパクトかつ素晴らしい登山ができました。
最北の
この後はひたすら大雪山の森林の中を下っていきます。
前日の宿泊地である道の駅を通り過ぎ、さらに数10kmまっすぐ走ると、そのまま旭川市に入ります。
3時のおやつに旭川ラーメンを食べました。
表面の油の層が厚い醤油ラーメンって感じです。夏がシーズンというわけではないのかもしれませんがこれはこれでおいしかったです。
この後博物館を巡ったりもしました。
ガソリンがやたらと安かったです。
ここは世界最北端の快活クラブです。
地元ならではの海産物を肴にビールをキメました。
つぶ貝は量が多かったので翌朝の味噌汁にぶち込みました。
この時読んだ漫画はたしか『ブルーピリオド』だったと思います。
北海道ツアーも残すところ1日と少し。最後まで安全運転でいきましょう。
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